夏、最北の地で起こったこと(1)

目を覚ました。雨が降っていた。駅舎の中に人の気配はなかった。灰色にくすんだ空から落ちてくる雨が、ロータリーで静かに客を待つ白いタクシーを濡らしていた。この朝早くからタクシーを利用する客はほぼいないのか、はなからそう決め込んでいるのか、運転…

EDMファンとして。

たまには日記みたいなものも。 先日、お台場で開催されたEDM系音楽フェスに友人と参加した。EDMは、「バカが聞く音楽」と揶揄され、「音楽ファン」の皆様からは軽蔑されることもままあるが、自分は嫌いではないし、むしろ傾倒している節もある。最近は別の種…

北杜夫「楡家の人びと」を読んで

北杜夫の「楡家の人びと」を読んだ。 ある精神科医が一代で作りあげた大精神病院と彼の一族が、明治後期から終戦までに辿った運命を描いた傑作である。上中下からなる3部作で(その割には短いかもしれないが)、なかなか読み応えがある作品に仕上がっている…

あれから6年半経った被災地を巡ったので紀行文を書きたい(目標)

自分が書いたとは思えない「はじめに」の記事を見て恐々としている(仰々しい…)。ただむしろ、これぐらい胡散臭く長ったらしい記事をはじめに据えておけば、後に続く記事もそこそこ長く(胡散臭く)書けそうである。ものは捉えようである。 先日をもって東…

はじめに(2度目のブログにあたって)

1年間の留学に旅立たんとする友人が、出発前、彼が書き綴っているブログの存在を教えてくれた。彼とは1ヶ月以上、2人きりでヨーロッパを旅して回ったことがあった。パリから始まり、ブリュッセル、ウィーン、プラハ、ブダペストをまわって折り返す。ベネチア…